妊娠が分かり、心拍が確認できてからもらいに行く「母子健康手帳」。この小さな冊子には、母と子の情報がぎっしり詰まっています。
母子健康手帳は日本発祥——世界初の母子健康記録
母子健康手帳が誕生したのは1942年。今から83年以上前のことです。母親と子どもの健康記録をまとめた手帳は世界初の試みでした。
情報があふれかえっている現代においても、母子手帳には子育ての「どうしたらいいの?」「困った」にしっかり対応できる確かな情報が掲載されています。SNSで見知らぬ方の動画を参考にするよりも、はるかに信頼できる情報源のひとつです。
ただし、母子手帳に載っている情報と同じように成長していなければ「おかしい」というわけではありません。マニュアルに沿っているだけでは子育てはできない。一人ひとり違う人間を育てているのですから、当然のことです。
「食べない」「寝ない」——よく聞く悩みの本質
最近よく相談を受ける子育ての悩みがあります。「離乳食を食べてくれない」「寝てくれない」——この2つです。
SNSを頼りに子育てしていませんか? 誰かの「こうするといい」が、必ずしも自分の子どもに当てはまるとは限りません。
近年は「時短」「コスパ良く」「楽に」を重視するあまり、本来シンプルだったことを複雑にしてしまっているように感じることがあります。
食事はシンプルでいい
離乳食は、大人の食事から味付け前に取り分けるだけのシンプルなこと。そして家族一緒に「おいしいね」と食卓を囲む。ただそれだけです。
わざわざ子どもの分だけ別に食事を準備して、大人とは別で食べさせたりしていませんか? 一緒に食べること自体が、食への関心を育てる大切な時間です。
睡眠もシンプルでいい
夜はテレビを見ずに、特別な遊びの時間も設けずに(日常生活での関わりが子どもにとって十分な遊びです)、絵本を読んで「おやすみなさい」と電気を消して一緒に寝る。ただそれだけです。
子どもが見たがるからと寝る前に動画を見せたり、忙しくて日中関われていないからと夜に遊びの時間をつくったりすることは、かえって子どもを興奮させることになります。
「自分が楽になる」が中心になっていないか
人を育てるということは、楽でも簡単でもありません。自分とは違う人格、感情を持った人間を相手にしているのですから、言って聞かない、思い通りにならないのは当然のことです。
心身ともに成長発達の途中にある子どもは、大人のように成熟しているわけではないのですから、何度も同じことを伝え、何度も向き合う必要があります。
私自身も子育てで逃げたくなることが何度もありました。でもそのたびに「ここで逃げてはいけない、自分が楽になりたいだけだ」と自分に言い聞かせ、一生懸命向き合ってきました。今となっては、大変だったことも笑い話。そしてあっという間に過ぎていった尊い日々だったと改めて思います。
答えは目の前の「我が子」が持っている
子育てに関する悩みの答えは、テレビでもSNSでもママ友の声でもなく、目の前にいる「我が子」の中にあります。
メディアや周囲の情報は、近くて参考にしやすい面もありますが、本当なのか分からないものもたくさんあります。誰かの「こうするといい」が我が子に当てはまるとは限らないのです。
母子のアタッチメント(愛着形成)の重要性
母親とのアタッチメント(愛着形成)がしっかりできていないと、子どもは不安を抱えたままの人生を歩むことになります。
乳児期の母子の時間は、その子の人生の土台をつくる、かけがえのない時期です。「あの時こうしていれば」というお母さんの後悔は、子どもが背負って生きることにもなりかねません。
子育ては考えすぎず、楽を求めず
自然なことが「良くないこと」「大人を苦しめること」とされがちな現代ですが、子育ての本質はとてもシンプルです。考えすぎず、かといって楽を求めず。
小さな母子手帳から始まる、母と子の人生の旅路。困ったときの答えは、スマートフォンの画面ではなく、目の前のお子さんの中から探してみてください。